今こそ見直したい、オフィスで行うべき防災対策

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多くの犠牲者を出し、今なお余震の続く熊本地震。首都直下地震の発生も懸念される今、社会人の多くが一日の大半を過ごすオフィスではそれぞれの能動的な防災対策が求められている。そんな今こそ見直したいオフィスにおける防災対策。ここでは、オフィス防災の基本となる「生命の安全確保」「二次災害の防止」「地域との共生」を軸に再確認していきたい。

 

防災対策の前に「災害時の任務分担の決定」

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出典:Yahoo! Japan

いつ起きてもおかしくない災害。不測の事態に慌てふためき、それぞれが勝手な行動をとってしまうと、単に混乱を招く原因に。一つの集団として冷静に、かつ統制のとれた無駄のない行動を取るためには、日頃の防災はもちろん、地震などの災害発生時の役割を予め分担しておきたいもの。

防災責任者を筆頭に、「出火防止・初期消火担当」「情報連絡担当」「避難誘導担当」「安全防護担当」「救出救護担当」「防災訓練担当」などを、事業所の実態に即した人数で編成しておく。「誰が何をするのか」を明確にし、具体的な指示がなくても各々が自主的に対応できる、柔軟な組織づくりを目指そう。

 

生命の安全確保①「オフィス内・避難経路の安全対策」

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出典:津波がきたら高いところへ逃げるプロジェクト委員会

災害時、建物に損傷がなくても、オフィス内や避難経路となる廊下等には、家具類の移動や転倒、落下の可能性がある。地震発生時は、特に高層階になればなるほど揺れは激しく長時間に及ぶため、これらの確実な対策が必要。既に多くの事業所で実施されているが、大型家具の固定や、大型コピー機などの移動防止用のストッパー、ガラスや鏡などへの飛散防止シートを施すことなどは、避難経路を安全に確保するための基本。全ての備品等に対策がなされているかを今一度見直したい。

 

生命の安全確保②「防災教育・防災訓練」

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出典:Yahoo!ニュース

災害時の対策計画や、社員の行動基準を示す防災教育。そしてそこで学んだ知識が実際の場面で機能するかを試す場が防災訓練だ。日々の忙しい業務の中で訓練時間を確保するのは大変なことだが、少なくとも年に一度は全員参加で実施したい。

 

<緊急地震速報に対応した緊急措置訓練のポイント>

  • 大きな家具から離れ、机の下などに隠れ頭を保護する。
  • 慌てて外に飛び出さず、安全スペースを探す。
  • 火気使用設備等を使用している場合には、揺れがおさまってから消火するなど。

※安全スペース:なるべく家具が少ない廊下や会議室など。避難時に散乱したガラスなどによる負傷を避けるため、軍手やスリッパなどを用意するのが望ましい。

 

<帰宅困難者に対応した訓練のポイント>

  • 帰宅困難者向けの待避スペースを予め決定。
  • 災害発生時は迅速にスペースを確保する。
  • 食料やヘルメットなどの備蓄品の確認と、それらの運搬方法の確認。
  • 待避者全員への情報伝達の方法を練習。

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出典:内閣府

 

二次災害の防止①「火災の防止」

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出典:三井不動産

二次災害の代表的な例の一つである火災。各フロアの「出火防止・初期消火担当」を中心に、消火器の設置や引火物の保管場所の再確認を実施し、火災時の対応を検討する。合わせて、避難経路も確認。普段は使用しない非常用出口や廊下、階段などは、そのスペースを物置代わりにしてしまいがち。いざというとき荷物が経路を塞ぎ、避難が遅れてしまうということがないよう、日頃から整頓を徹底しよう。

 

二次災害の防止②「情報の収集」

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出典:Yahoo!ニュース

災害時に重要になるのが、被害状況の把握と情報の収集、伝達。有事の際は、テレビやラジオ、インターネットなどで入手した情報を「情報連絡担当」が迅速にとりまとめ、社員に伝える。電話回線やインターネット回線に頼らず、衛星回線、無線、トランシーバー、拡声器など複数のツールを用意しておくと安心だ。

 

二次災害の防止③「帰宅困難者対策」

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出典:内閣府

東日本大震災の際、帰宅困難者が無理やり帰宅を開始した主な理由の一つが「家族や知り合いの安否が確認できず不安になったから」というものだったそう。しかし災害時のむやみな移動は、交通機関の混乱をもたらす他、余震などによる二次災害の危険も併せ持つ。メールや災害用伝言ダイヤル(171)、携帯電話会社などの災害伝言板の活用を促し、日頃から家族間で練習させておくことも大切だ。

災害直後は混乱を避けるため、安全が確認されるまで社員を一定時間社内等に待避させる「一斉帰宅抑制」を実施。交通機関の復旧状況や幹線道路等の混雑状況を勘案し、安全の確認が取れた場合は、時差での退社を実施する。

 

二次災害の防止④「非常用物品の備蓄」

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出典:仙台医療センター

東日本大震災以降、企業の備蓄について意識は高まり、データ上では約71%の事業所が従業員向けの食料、飲料水などを災害用に保管しているそう。しかし3日分以上の備蓄を行っている事業所は、飲料水で約42%、食料品では約38%程度。個人でもある程度の備蓄品の管理を検討したい。靴下や運動靴などの避難グッズの用意も忘れずに。

 

地域との共生「地域と連携した防災対策」

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出典:内閣府

地域コミュニティーの一員としての事業所は、周辺住民や他企業との連携した防災対策が求められる。共同ビルの場合、他のテナントや管理会社との情報共有や、地域の防災訓練に参加することも大切だ。過去の災害では、多くのマンパワーと資機材を有する企業が、人命救助や復旧活動に大きな力を発揮している。地域との連携を図り、いざというとき自分たちがどのような協力ができるかを提示しておくのも良い。

 

他にも、エレベーターの閉じ込め対策や、データ損失に備えたバックアップ対策、来客の安全確保の方法など、事業所の実態に応じたあらゆる防災対策が必要とされている。有事の際に一丸となって災害に対応できるよう、今すぐにでもオフィスの防災対策を改めて検討したい。

 

 

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